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菊水湯の終焉

オリンピックのエンブレム問題、というのももう古くなった感じではあるが、2チャンの調べ力がすごくて、久しぶりに心からワロタ。

 「T」だけじゃなく、他のアルファベットも作っていたんです!と主張して(多分会見までの5日ででっちあげ)いる作品のセンスがすごい。特にXYZが。これはほんとに自分で作った「オリジナル」だと思われる。

 サントリーすらだが、いろいろな「行政」のおっさんたちが、「これが有名な佐野先生の作品です」みたいな感じで、ほいほい大金を払っていた構図の、どでかいものがオリンピックだったんだろうな。犯罪者は必ず小さな累犯を繰り返しているものだ。行政のおっさんたちに2ちゃんに投稿するくらいの黒いセンスでもあればなあ・・

 癒着や汚職ですらなく、「ぼんやり職員」に一回「押し売りルート」を作ると、その後わりと安泰、安定受注の法則。

 行政が変なガラクタ芸術を高値で落札。でも芸術なんて「愛の妙薬」より怪しいものであるから、みんながサムラゴウチに感動しているんだったら、それはただの安ワインですよ、というのもお節介な話である。サムラゴウチに「元気をもらった」人たちは「裏切られた」気持ちだろうよ。

 久しぶり(半月くらい行かなかったと思う)行った菊水湯
が9月末で閉店・・その後はヘーベルハウスなんかになるらしい。

 ここに毎日来ている老人(末期高齢者)は、一応桶持ってとぼとぼ歩いて自力で来られる人々。ここに来ると、温かいお湯とお仲間とナカシマ画伯の富士山と、高い天井に反響するケロリンの桶を置く音、男湯から聞こえてくる、少年のような歓声(テレビが野球だとね)、行政はこういうところこそ密かに耐震設計などに1億くらいかけてさ、優秀な掃除のプロを入れて、諸々存続に補助金を出して欲しい。強い意思を持って、この「木の温もり」、を超越した腐りかけた木造建造物を守ってほしい。それこそ本当の福祉だ。新しい建物に老人の「生き生き施設」なんか作っちゃうのはガラクタである。バリアフリーなんかにしなくても、風呂屋で転ぶ、あるいは溺れる老人を見たことがない(トイレ和式だし、湯船も手すりないし過酷)見栄があるからである。風呂屋で転んだらみっともないのである。私も年末に菊水湯でぎっくり腰になったが、最後パンツはくのも大変だったが、ここで半裸で救急搬送なんかされたら恥ずかしいから頑張れたのである。人は最後までプライドがあるんだから、「よくしてもらう」のは筋ではない。

 同じ生活を同じに繰り返す事がいつまでも出来ますように、の延長に死がありますように。

 毎日菊水湯に夕方ゆっくり歩いて出かけて、お仲間と少しお話ししながらゆっくり湯に浸かり、帰ってから夜9時のNHK「今日の料理」を三ツ矢サイダー飲みながら見る(ひそかに楽しい、でもそういうものだよ楽しさって。太宰が(すごい苦境の時、ったって自分で作った苦境だが、いや苦境とは自分で作っていることが多いが)夜寝る前、塩せんべい一枚食べることが喜びだった、とどこかで書いていることを思い出す。さて、戸締まりして仏壇のおとうさんにおやすみ言って寝るおばあさん、から一つのコンテンツも引けないんだぜ。

 江戸の文化とは優秀である。「体を洗う」ということは家にシャワーがあればいいのである。では精神は?それは風呂屋という洗浄装置が必要なのだ。「テルマエ・ロマエ」に詳しいが。

寂しくなるわね・・・・

カランに3人並んで世間話をしていた末期高齢者のばあさんが呟く

 何事もなかったように歴史が閉じる。そして、そこに何があったかも思い出せなくなる。そしてみんな早晩いなくなる。

 ここに通ったこの10年を私は忘れないだろう、というか、そこ忘れると私の大部分がなくなっちゃうしな、教室を始めた頃から通っているのか。いろいろなものを流して尚、ひとは寿命までは生きていなくてはならない。修行である。修行のお供に菊水湯だったのにさ、けっ。

 いろんなものを流して生きていくんです、東京でなにかがなくなって悲しくなっていると生きていけない。サムラゴウチやデザイナー佐野が企業やら行政と組んでいっぱいの偽造品を作っていることに慣れないといけない。自分が何を欲望していたのかも解らなくなるまでにそれらの力は強力であるが、私が一番恐怖に思っているのは、それらの偽造品採用担当者が「悪気」すらないことだ。

 「小商いのすすめ」 平川克美著 ミシマ社 

「顧客の信頼を獲得するためには、商品に付加価値をつけなくてはならず、商品創造に手間ひまを十分にかけることでしか本来の付加価値というものは商品に棲み付くことはないといえます。まさに、価値とは価格のことではなく、誠意とか努力とかいったものが微細な差異となって、商品に結晶したものであり、その微細な差異を感知することができるところまで成長した顧客との間にうまれるものです。しかし、その生産者と消費者の蜜月は長くは続きません、どこかで、消費はその飽和点に達し、それ以後生産者は、ただひたすら消費への欲望を喚起するための差異への創造へと軸足を移していくことになるからです」

三ツ矢サイダーでいい、って言っているものに、それ以上の負荷をかけないでほしい。

菊水湯、ここは菊坂の一番下に位置して、暗渠、昔「菊坂セツルメント」なんかあったという地域、この辺の家から来る子どもたちは本郷小学校においてなんとなく「異質」だったなあ。「歴史」とはそういう暗部も含んでいるんだが、じゃ、あなたが「そうだったら」どうするんです?答えは「菊水湯に行こう」じゃないんですか?

 菊水湯存続に一票。 もうだめだ、へーベルハウスの営業が立て看板出してるから。そこに「悪意」すらないからさ。 

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