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うたがうまい、とは。

 ネット会社のお兄さんに、これからは内輪受けする「ブログ」だけではなく、声楽教室としての「ちゃんとしたブログ」も発信しましょう、ということで、毎月お題をいただきまして、何か書くことになってます。

今月は「うたがうまいとはどういうこと」という質問に答えてくださいということです。

一言で言うなら、「鼻腔共鳴をうまく使える」かどうかです。声の響かせ方がうまい、という言い方も同じです。いいのどをしてるかどうかは関係ないと思っているけど、前声楽家がよく行く耳鼻科に行ったら「ふっくらしてよい声帯だ」というようなことを言われたので(そこは声帯の写真をくれる。声帯の写真ってけっこういやらしいかんじで、そういう言われ方もいやらしく感じた)耳鼻科的にはふっくら、貧弱、などいろいろあるのかもしれないけど。それらの特徴をもって響かせる、ということになるので、ふっくらしてればふっくらした声、貧弱なら貧弱な声、となるのだろうが、一応鼻腔共鳴に持って行けるなら、それは声楽らしくは聞こえると思う。

その鼻腔共鳴にうまく持ち込めればそこからはうたのセンスということになるけど、その鼻腔共鳴に持って行くのが案外難しいのです。私の師匠などは「え?そこ鳴らない人なんかいるの?」と本気で聞いてきましたが、それは先生が二期会の生徒中心に教えているからで、世間一般には大半の人々がそんなところ鳴らして生きていません。

言語の問題は大きいと思います。日本語は共鳴させないように注意して出来ているというような特徴があり、つまり日本でまともに暮らしている日本のみなさんは多分赤ちゃんの時以来声を共鳴させようなどとは思っていない、静かに暮らして事を荒立てたくない、人に迷惑かけないというのは日本人にとって大変大きな目標ですが、響く声というのも大迷惑ですからね。

声をうまく共鳴させられない人はたいてい静かな人です。

でもなんでも例外はあります。当教室で言えば、もう静かすぎてお話の声は声楽難聴の私にはよく聞こえないくらいなのに、うたうと豹変してバロックからミュージカルまで朗々とうたう女子。いつも謙遜的な態度で、静かな研究職だとおもわれるのに、もう出来上がったバリトン歌手のよう、でも自分が響く体質なのを今まで誰にも指摘されないばかりか、自分でも気が付かなかった男子など。

わたしもうたうのは苦手で、音痴と言われて長かったですが、この鼻腔共鳴に持って行けばとりあえず声楽的な声が出るとわかったのは音楽大学に入ってからです。逆にこのやり方以外で声を響かせられないので、カラオケなどは大変苦手。こんな仕事してると、忘年会でみんなでカラオケなどという場面は多いですが、で、当然うたってうたってと言われます。いつも丁重にお断りしているが、ある時もうどうしてもということがあり、うたったら、「先生、本当に下手なんですね」と言われた。ふん、もう二度とうたわない。

逆に言えば、クラシック以外の歌手は「勘」でやっているんだろうか、初めからうまい人とうまくない人に分かれてしまうが、そこちょっとこのやり方知ったらうまくもなるのにな、と私は思います。また今まで勘に頼ってやれていた歌手のキーが落ちるとか。80過ぎたらわからないけど、少なくとも78までは大丈夫です(生徒の78歳は去年よりキーが上がったし、ハリも増えた)つまり共鳴を使っているので、声帯が多少へたれても大丈夫というわけです。

うたがうまくなる、とは共鳴のさせ方がうまくなる、ということです。

でも最近思うが、この鼻腔共鳴とは体がかかわっていて、ちゃんとハラを使わんと響かないんですね。例えば悲鳴というのは鼻腔共鳴の最たるものですが、その時はやはりハラから出そうという気持ちが働いてますよね。ハラから出そうという指令は頭がするので、静かにしてなくてはいかん、とあまり洗脳されてる人には、その洗脳を解くことから始めないと声は出ません。

例えばうちは後楽園遊園地に隣接してますが(と言っても白山通りを挟んでかなり遠く)そこのジェットコースターの悲鳴は毎日聞こえてきます。もうここに45年も住んでるので慣れていて気にならないけど、電話してたら「どうした?悲鳴聴こえたけど」と言われびっくりしました。窓も閉めてたので、あの距離から窓を越して電話に入るほどの声を出すことはどんな歌手にも難しいと思う。ヴェローナの野外劇場だってもう少し近いですから。マイクで多少拾ってるし。

つまりジェットコースターとは、最大級の鼻腔共鳴を引き出す装置なのです。そこでは「そういう声」を出していいことになっているし、羞恥心とか罪悪感も消えますからね。

うたは素質が全部のように言われてますが、赤ちゃんの時泣けたのなら全員が出来るものだと私は信じて教えています。

 うたがうまいとは「鼻腔共鳴がうまい」ということでした。NHKの教養娯楽番組「チコちゃん」のようになってしまいましたね。ぼーっと生きてんじゃねえよ、とか言うんでした。鼻腔も鳴らさないで静かに生きてんじゃねえよ、という落ちでいかがでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

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