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あこがれの続き

そうよ。憧れ。あこがれ。そうなりたいと切望する事 「理想的な生活や未来をぼんやりと想像して、もし現実になったらいいのにと思う」こと「理想とする物事に強く心が引かれること。憧憬 」とある。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  「戦後は終わった」という戦後復興の象徴として、オリンピックはやってきたのでした。原爆2発も落とされ、B29で焦土と化した日本が、その多大な犠牲を無駄にしないと心に誓って一丸となって新しい「民主主義」の国を作るんだとみんなで信じ、欧米型の生活にあこがれ、そう、その先にオリンピックはやってきたのでした。復興、欧米に負けていないんだというシンボルとしてのオリンピック・・新幹線みたいなすごいもの作っちゃうんだよね。あこがれに向かってガンガン男は働き、女は戦前と変わらず銃後の妻ではあるが(この辺で「専業主婦」というのは「作られ」たものなのですよ)お国のためを「家庭のため」(戦前のイエではなく)に置き換えることに大成功したよね。それは国民総生産を上げたし、奇跡の大復興を成し遂げた・・と。日本史はたいていポツダム宣言くらいでタイムアップなので、この辺のことは一番知りたいのにあまり学校でやりませんけど。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「あこがれ」で国をつくる、そういう民族なのかもしれない。そこが日本のすごいところで、いつまでもトップが悪いとか騒いでる国は成長しません。  例えば明治期という偉大なる時代に、もうそこら辺のおじさんまでもが蒸気機関車を作っちゃおう!くらいな意気込みだったっていうじゃない。音楽で言えば、文部省に「音楽取り調べ係」なるものを作り、尋常小学校1年から6年までに割り当ての文部省唱歌を作り、徹底して暗記させてうたわせた、と。おかげでこの12音階という西洋音階とそれに基づく西洋音楽のルールはたった数年で下々にまで行き渡り、まあさすがにみんながピアノを習ったりはしなかったが(当時ピアノは家一件より高い)それでも選ばれた家庭の子女の中に西洋音楽にあこがれ抜いた何人かがくらいつき、また先の大戦後は下々までもピアノが購入できることになりましてね、その戦後の「あこがれ」の最終地点は、3種の神器、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、その先自家用車、などの先の先に「ピアノ」があったんです。 ・・・・・・・・・・・・・私たちの母親でピアノが弾ける人がほぼいないというのも「あこがれ」に火をつけたのかもしれません。マイホームの芝生に白い犬が走り、アメリカ家庭ドラマのような素敵なエプロン姿のママが洗濯機で洗った真っ白なシーツなんか干してるところに娘の弾く「乙女の祈り」が聞こえてくる・・みたいなさ。少しでもピアノをやったものにしてみると、その乙女の何とかは結構難しいからハノンとかツエルニー30番だのを味気なく反復練習しなければならないので、聞こえてくるだろうは多くはヒステリックな音階等の反復練習だと思われるが。ちょっと、ご近所に迷惑だから窓閉めて練習しなさい!くらいにならないとさらっと乙女の何とかは弾けない。 ・・・・・・・・・・・・・でも「あこがれ」だけが先に進むんです。心が動けばなんでもできる。その後ショパンコンクールのファイナルに日本人がたくさん入った年がありました。戦後「あこがれ」の勝利。今年はショパンコンクールイヤーだが、出演予定者は今年は半分が東洋系。最近の韓国中国勢はすごいですよ。私は今年それワルシャワまで見に行こうかと真剣に考えていたんですが。延期か? 東洋人の演奏は繊細なうえに西洋音楽へのまっすぐな「あこがれ」があって素晴らしいんですよ。 ・・・・・・・・・手に入ってしまったものにあこがれは存在しないのだとすれば、国のトップは常に新しい未来、手に入っていないけど皆が憧憬する未来を示唆しないといけない。それはなんなのか、全くわからないけど、なにかわくわくするなにかでしょう。なんなんだろう。 ・・・・・・・・・・・・とりあえずもう「モノ」にはあまり興味がなくなってしまった日本人。もっと詳しく言えば「モノ」にくっつくストーリーに人はあこがれるわけだが、そのお話作りがへたくそであんまり皆の食指が伸びない。その象徴が今回のオリンピックでしょうか。もう1963年のお話を復古させようとしてもちょっと違ったかな。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・私のない頭で考えるに、最近は「参加型」ばやりですよ。当教室もそれで成功してますが、誰でも主人公というわけです。オリパラのあとの一週間で運動会的なことをやったらどうだろう。区内で一番早い人レベルを出してあげるという。そうするとオリンピックの見方も変わるし、がぜん盛り上がるのでは。そのストーリーはこうです。だれでも自分は変えられる。明日国立競技場にあなたが立つ!(没)・・・・・・・評判のアベノマスクが文京区は来ませんが、新宿区には来た。娘夫婦は布マスクの効果を信じてないので、いらないからくれたんだが(非国民だな。科学的リテラシーより信じる気持ちだ!)良いマスクではないですか。しっかりしてるし、通気性がいい(!)今やマスクは正しい日本人の「記号」ですよ、「ちゃんとしたマスク」は医療従事者などが使えばいいのです。国民は布マスクを洗って使いましょう。マスクに白地に赤く日の丸なんか入れてくれたらナイスだったのに。国民一丸となってのストーリーも今時流行らないが、「大切な人を守るために家にいよう」より私はいいわ・・・・・・・・・・・・壇蜜がサンデージャポンでしていた手作りマスクがパンティみたいだとみんなに揶揄されたたが、小池都知事の手作りマスクはおむつのようだ。マスクはつける人の体(てい)を表す。内面が不思議と表れる布マスク。 ・・・・・・・・・・・・・・・・学校がこんなに休校になるという前代未聞の僥倖に際して(友達と会えないからつまんないとか言ってないで、その「魔の山」をお使いください、たぶん9月まであるから)若者たち、君たちの夢をあこがれを思う存分めぐらせていてください、年寄りはもう先が短いですからね、皆さんの強いあこがれる気持ちこそがこの国の明日を作るんですから。・・・・・・・・・・・「魔の山」なんか言ったから思い出したけど、トーマス・マンの「ベニスに死す」は初老の主人公がたまたまベニスに遊びに来ていた美少年タドッツィオに「あこがれ」てコレラに侵されていたベネチィアから出られなくなってしまう話でした。年寄りの「あこがれ」は危険という示唆か。足腰が弱ってるからね。
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